世界1位営業女子が教える幸せな共働き 

残業なし、有給100%消化、育休3回、欲張りに稼いで家庭時間命 外資系アラフォーママの軌跡

夫にも育休を取ってもらう③ 完結編

いよいよ夫の職場への根回しがスタートした。

 

夫の会社はこんな会社だった。

財閥系の超堅い老舗日系企業。社員は数万人、男性で、1か月単位で育休を取った社員は皆無。夫が取得すると第1号になる事は明らかだった。会社のホームページには、男性の育児を推進する、また女性の働き方もサポートすると大きく書いてあり、力を入れていきたい意向が見られた。

 

数万人のマンモス企業なので、物理的に育休を取れない事はないのではないかというのが私の見積もりであった。数か月先のお休みについて、上司と同僚への相談と理解を早急に得る必要がある。

 

ちなみに感情的で、はっきりものを言い、腹の中にある事は全て口に出してしまう私に対して、夫は非常に物腰柔らかく、穏やかだ。周りの敵を作らないタイプの夫は、基本的に職場では好かれているようだ。話を聞くのも非常にうまく、皆から嫌われるパワハラ気味の上司でも、夫はうまくコミュニケーションを取れる人だった。無口な我が父に対しても、ありとあらゆる会話のネタのボールを投げ、感じよく、話を引き出しているのを見ると、単純に凄いなと思う。

 

と言うわけで、私は夫さえ腹をくくれば、何とか育休取得までたどり着いてくれるだろうと信じていた。夫は、自分が育休を取得しなければならない理由を以下のようにまとめて上司に相談をし始めたようである。 

  • 保育所に1歳の時点で入れない事がわかった
  • 妻の職場が夫の会社と違って小さな職場であり、人手不足で私の復帰を切望している
  • 頼れる実家親戚がそばに居ない
  • 実母には障害があり介護が必要である
  • 4月に保育所に入所出来る可能性もあるので、実際の休みは1か月程になる可能性もある
  • その後速やかに復帰をする
  • 引継ぎは十分にする

 数か月後、夫の根回しが功を奏し、最終的には上司職場のフルバックアップの元、初の男性育休取得までこぎつけた!

 

夫よ、かっこいい!男性の育児を実践しているパイオニアとしてきっと社内報に載るのでは??次世代の若手後輩社員で、育児もしたいと密かに思っている人とか、きっと話聞きたいと思うよ。既婚の女子社員にも人気が出ると思うよ!

私は夫をヨイショしたてみた。

しかしながら、そもそも夫は、むしろそんな目立ちたくない、男が育休を取るなんて恥だと思っていたようだったので、特にこれは響いていなかった。やっぱり根っこは九州男児か?

 

ちなみに夫はあれだけ嫌がっていたのに、育休が始まったら育休を相当満喫していた。10年前なので、男性の育休自体が非常に珍しいため、保育園でも、公園でも、どこに行っても、育休を取ったと夫が話すと、皆から褒められ、チヤホヤされまくった。

私もいつも「理解のあるいい旦那さんね」と事あるごとに言われた。もちろんそのおかげで私も職場復帰したわけだから感謝している。復帰後の私の働き方についてはまた書こうと思うが、夫は基本的に、私が帰宅するときには、夕飯を作って、待ってくれて居た。子供の離乳食を作る、食べさせる、お風呂、おむつ替え、着替え、寝かしつけ。基本的なお世話はもちろんの事、良く遊びにも連れ出してくれていたので助かった。娘は夫に懐きまくった。可愛いに決まってる。

 

私は育休を「取らせた」自分は可愛くない妻だろうか。夫を昇進のレールから引きずり降ろしてしまった酷い妻なんだろうかと、時に不安になった。実際には日本では女性も大変だけど男性が育児をしたいと言う方がもっと大変なのはわかるから。でも私は夫婦共に働きキャリアを大事にして、かつ家族も大事にする暮らしを諦めたくなかった。誰かがパイオニアにならないと、変わらない。そんな強い思いで夫に育休を取ってもらった。夫の会社での立場はともかく、夫自身は育休を楽しんでいたので救われた。 

「いやぁー、ほんと子供可愛いなぁ。貴重な経験してるわ。育休取って良かったわ。ハッハッハ!!」

切り替えの早い幸せな九州男児の夫は、B型である。